「みんな。観ようぜ！」第２３回
キス・オブ・ザ・ブラッド

　近々展観会を企画している写真家のアレックスは、恋人のリヴィアと共にルーマニアに移り住んだ。
　ある晩、バーで飲み終わった２人が店から出てくると、カメラを忘れてきた事に気づき、アレックスは店へと走る。
　しかし、道を渡った瞬間に車に撥ねられてしまう。

　輸血で一命を取りとめたアレックスだったが、身体に異変が起こり始める。
　鏡越しに自分が吸血鬼に見える幻覚や、太陽光に痛みを感じるようになり、夜眠ることが出来なくなった。
　ご飯も口に入れると吐いてしまう。

　苛立ちからリヴィアに辛く当たるアレックス。
　そんな日が続くある日、アレックスは新聞記事にルーマニアの呪われた血を輸血されたとされる記事を見かける。
　自身の症状から母親に血を採ってもらい、検査を申し出るが、精神疾患だと思い込んだリヴィアはその血を隠した。

　2人の仲は悪化し、吸血鬼になってしまったと叫ぶアレックスにブチ切れたレヴィアは、自分の腕をナイフで切り裂き、アレックスに自分の血を与えた。
　すると、アレックスの顔色がみるみるうちに良くなり、吸血鬼の顔をリヴィアに覗かせた。
　吸血鬼になってしまった事を信じたリヴィアは、献身的にアレックスを看護し始める。
　
　展覧会は大成功を収めるが、その帰り3人の強盗に襲われる。
　アレックスは瞬く間に3人を殺すと、その血を飲んだ。

　その姿を眺め、悩むリヴィアであったが、アレックスと共に生きる事を選んだ。

　「あなたを受け入れる。でも私を置いていかないで」

　夜な夜な狩りに出かける２人。アレックスがギャングを襲い、リヴィアはその間周りを警戒する格好だ。
　しかしアレックスは隠れていたギャングに後ろからショットガンで脳天ブチ抜かれて、殺されてしまう。

　アレックスの葬儀が終わり、ふと思い返す過去。
　アレックスの事故の原因。カメラを店に忘れた事。
　あれはリヴィアの悪戯だった。カメラをカバンに隠していたのだ。ちょっとした悪戯のつもりだった。しかし、それが原因で幸せだった世界が壊れてしまった。
　アレックスに対する自己犠牲と呼べる看護。それは彼に対する愛だったのか、自責の念からだったのか。

　リヴィアは隠していたアレックスの血を注射器で自らの体に注入した。
　吸血鬼となったリヴィアはアレックスを殺したギャングのアジトに単身乗り込み、皆殺しにする。

　全てが終わり、リヴィアは川のほとりに座り込む。
　そして美しい朝日がリヴィアに降り注いだ。
　
　んで、END　( ﾟДﾟ)